怒涛の2020年も間もなく終わろうとしています。今年の抱負は「共有」でした。
2020年は言うまでもなく、新型コロナウィルス感染症の影響で世界中が大きく変化した一年でした。学校での出張授業や地域での講演会は次々と中止になり、演奏会や舞台の出演も悉くキャンセルになりました。Art&Artsとして当初計画していた演奏会はほぼすべて中止・内容変更となりました。俳優・声楽家としての年収は一般会社員の月収ほどにしかなりませんでした。
この状況下で真っ先に思案したのは、何よりも俳優業の仲間たちのことでした。
ただでさえ不安定な職業、掛け持ちのアルバイト収入さえ断たれて本格的に困窮している人もいました。クラウドファンディングが数多く立ち上がり、支援の輪が広がる一方で、補助金の申請に行って「求職活動」を求められた知人もおり、「音楽を仕事にすることは仕事のうちには入らないというのか」というモヤモヤ感が自粛下でどんどん大きくなっていきました。
「パフォーマンスを提供し、対価を得る。その場を提供し、文化の基盤となる経済を存続させること。」
この基本は、コロナを通じた激動の末にも変えてはいけない。では、どうやったら守れるか。そんなことを考え続けた一年でした。
自粛が明けようとする7月頭、興行が中止となったにも関わらずキャンセルが出来ない会場の使用権を知人劇団から一部譲受け、二週間にも満たない準備期間で急ごしらえの興行をしました。